七人の話 その3/hon
 
ないだろう、と秀人は考えていた。“駅”の地下トンネルを潜って。
 どのような状況で“かの日”が訪れるか、わからない。しかし、状況にもよるが、たぶんその時、全員一緒に出て行くわけにはいくまい。小さい子らが、自分と同行して、『外』の世界へついてくるのはまず無理である。だが、秀人とても、一人きりで出て行くわけにはいかず、同行するパートナーが必要なのだ。
 さて、そのパートナーを誰にするべきか。
 仁乃――仁乃が、もっとも秀人と年齢も近いが……。彼女は、小さい子らにとって、常に母親的な存在であり、後に残ってその子らの面倒を見てもらう必要があると、秀人は考えている。
 充――充は手先が器用で、いざと
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