七人の話 その3/hon
だ。
(あの時から、俺は“かの日”という観念にとりつかれている。ちょうど同じ頃、志穂子が『外界』と『他者』への、よくわからない恐怖にとりつかれて、自分の部屋から抜け出せなくなったのと同じように)
“かの日”とは何だろうか。それは、七人にとって、おしまいの時であり、またはじまりの時でもある。そして、それはおそらく、そう遠くない未来にやってくる。
もちろん、“かの日”などというものは、根拠に乏しい、ぼんやりとした想念でしかない。“かの日”なんて、永遠にやってくることのない、単なる思い込みにすぎないかもしれない。しかし、もし――もし本当に、その時がやってきたら、自分はここを出て行かねばならない
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