七人の話 その3/hon
 
、空になった食器をのせたトレーを持って現れた。
「ご苦労さま。シイちゃんの様子は、どう」
「普通」
 充はトレーを仁乃に渡して、そう答えると、すぐに厨房を出て行った。
「フツー」
 秀人はボソッと、充の口まねをした。
 仁乃は吹きだした。
「もう、やめてちょうだい」
「フツー、フツー、って。あいつ、同じことばかり言ってるけど、大丈夫なのか。本当にシホのこと、ちゃんと見てくれてるんだろうな」と秀人は言った。
「普通だっていうのなら、良いことだと思うけど。あれから一ヶ月、シイちゃんは平穏を保ってる。何かおかしなことがあれば、ミツルは繊細なところがあるから、すぐに気づくと思うわ」

[次のページ]
戻る   Point(0)