七人の話 その3/hon
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秀人は、小遥と一緒に作業をするようになって、あらためて彼女のもつ多くの美点に気づいた。明るく、聡明で、よく気がつく。なにより素直である。また、秀人は、言葉を交わす際のちょっとした彼女の仕草にぎくりとして、凝然と目をみはることがしばしばあった。彼女は、ほころびかけた蕾のように、輝かしい美しさを放ちつつある。
(この子は将来、すごい美人になるな)
秀人は、いつしか小遥との作業の時間を楽しみしている自分に気づいていた。しかし、そういった愉悦にはそれ自体の快い一面もあるが、同時に不安も感じさせた。自分一個の楽しみに耽りすぎることは危険に思われた。俺たちは七人でひとつだろうか。そう自問すること
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