ホワイ/ホロウ・シカエルボク
ろう、俺はにやりと笑って見せてまた先へと向かった、次第に歩く事が難しくなってきた―足を取られ―汚れた水の中へ俺は倒れた、汚れた水の中へ
すえたものがたくさん喉の奥へ雪崩れ込んだ、俺はそいつらを出来る限り吐くと、仰向けになって流れるに任せた、河原でさっきの年寄りがポカンとしているのが見えた、見物人がぽつぽつと集まってきていた…きっと俺よりは自分の方が幸せだと思うためにそこに来たのだ
その水は流れていた、確かに確実にその水は流れていた…澱んで、止まっているように見えた川面の下に確かな流れがあった、俺は身体を返して顔をそこに突っ込んだ、そこで見た光景は生き抜くものたちの築いた新しい野性の形だった
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