服部剛 その詩と人/岡部淳太郎
思う者がいるかもしれない。そういう可能性を考慮することなしに、彼は善意を信じすぎてしまっている。言ってみれば、光の方ばかりを向きすぎているのだ。世の中の影の部分、人の心の暗い部分に目を向けずに、詩で人生を語ってしまう。それは明らかな片手落ちであり、そのような方向性を信じられない人からつっこまれやすい。そういう意味で彼の詩は非常に危ういものになってしまっていると思う。
それはおそらく彼が詩を書くに当たって自らを徹底的に観察者の立場に置いてしまっているからだろう。「『る』」(http://po-m.com/forum/i_doc.php?did=15619)のように彼自身の心の痛みを語ったよう
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