服部剛 その詩と人/岡部淳太郎
 
け入れられやすい。そのことは彼の書き手としての強みであるのだろうが、どうもそれだけではない一種の危うさを感じさせることもまた事実であると思う。


{引用=通勤バスの車内
後部座席から眺める
まばらな人々が眠たげな朝

( 昨晩わたしは、尖(とが)った爪を、切っていた。)

人さし指をのばし
四角いボタンを押す
「とまります」
黒字で書かれた
赤いランプが灯(とも)る

それは
「今日を生きる」
という一つの選択

( 昨晩わたしは、尖った爪を、切っていた。)

人のこころの曇り空に
おぼろな日輪があふれるよう
わたしは今日もあなたへと

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