服部剛 その詩と人/岡部淳太郎
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これなどは実に典型的なもので、「杖も毎日使われて/たまには隠れて/休みたかったのでしょう」という「介護士の青年」の言葉がそのまま作者の言葉になってしまっている。作者の顔が見えやすい詩だと言うことが出来るが、その見え方があまりにもまっすぐすぎるのだ。たとえばひとつの仮構された物語や言語の複雑な網の目の中に作者自身をこっそり隠しておくといったような書き方を、彼は取ろうとしない。物語を語る時も、それは彼がその眼で直接見たものをほとんどアレンジすることなしにそのまま書いてしまっている。だからこそ作者の顔が見えやすいし、徹底して日常に重きを置いた世界観であるから読者にも受け入
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