服部剛 その詩と人/岡部淳太郎
 
い詩人も多いが、彼の場合は彼の人としての性格がそのまま直截に詩に表れている。それはやや無防備すぎると思えるほどで、彼の詩を読めば彼の性格まで何となく想像できてしまうようなところがある。


{引用=あっ

と九十過ぎの老婆(ろうば)が言うと
黒い杖はエレベーター十階の
開いたドア下の隙間にするりと落ちて
奈落の底で
からんと転がる音がした

「 杖も毎日使われて
  たまには隠れて
  休みたかったのでしょう 」

隣で老婆と腕を組む
介護士の青年は言った

(「古い杖」)

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