「 コワレ。 」/PULL.
が気になり、最後まで手を出すことはなかった、ようよう辿り着いたころには、日はとっぷりと暮れて、すっかり夜になっていた。
男の家には、ながく、居た。
男の家にあったものはどれも、わたしには納まらず、また、男が外から持って帰ってくるものにも、わたしは納まりきらず、そうこうしているうちにずるずると、とどまることになり、気がつけばながく、ながいということがどれぐらいのことなのか解らぬほど、ながく、居た。男はもう小さくはなかったが、ときおりこちらを見ては、ふかく、溜息をつき、涙を流した。それは出合ったときの溜息とはどこか違い、わきゃわきゃと、涙の下でコワレ遊ぶわたしの踊りも、どこか、いつもとは
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