「 コワレ。 」/PULL.
たしの中で、しくしくと泣き出した。泣くほどに男の涙は大きくなり、わんわんと大粒の涙と鼻水をたらし、泣きじゃくった。泣きじゃくるもので涙はかわくこともなく流れ落ち、水たまりになった。水たまりではぱしゃぱしゃと、音を立て、またさらにわたしがコワレ、激しく、踊りまわり。男はそれを見るのでなおのこと涙を流し、またコワレれてしまったまたごめんなさいまたごめんなさいと、か細く、謝るのだった。
何だか、かわいそうな気分に、なりはじめていた、あの…とりあえず、納めるものがあれば、それで、ひとまずのあいだはしのげますので、と言うと、男が、こちらを振り返った。ほんとうですか、とか細く聞くので、ほんとうです、と答え
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