さよなら世界/ホロウ・シカエルボク
るかの様な現実感の欠落具合で
かといってずっと繋いでいる指先には確かな感触があった
そんな成り立ちの中で押し黙って
僕らは冬の森を行くあてなく歩いていた
僕は初めから天涯孤独で、君は早いうちに母親を失くしていた
だから執着というものがお互いよく判っていなかった
ある意味で僕らは誰も知らない森に似ていた
先に進むのに相当な努力が必要なくらい地面のでこぼこは激しかったので
僕らはとっくにへとへとになっていてよさそうなものなのに
足は自然に前方へと踏み出されてゆく、なので
僕らはそれに任せるより仕方がなかった
彼等にはどこか行くあての見当がついているのかもしれなかったから
朝露の
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