創書日和「指」 五本/山中 烏流
 

して


誰かを指したあと
触れないふりをしたのは
少しの後悔と、
それから



?.中指

まさぐった奥底
その、意味を知るとき
私は少しだけ
女になっていく
鼓動の音を
恨んだりも、する

突き立てた性の
ほんの小さな罪を
見えないようにして
うずくまりながら
ただ、


夕暮れは
いつだって赤いことを
私は未だ
知らないでいる



?.薬指

口付けた余韻が
様々に分かれている
それは瞬くと
私を、優しく
締め付けていく

差し出した指先から
ほろほろと
何かが零れたあと、
爪跡が描くものは
いつ
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