創書日和「指」 五本/山中 烏流
 
いつも決まって
恋文だったものだから、
私は


少しだけ
揺れた毛先から
約束が伝わる日を
待ち望んだり
して、いる



?.小指

千切れた合図が
耳元でこだましている
それはつまり
一種の契りであり
既に、幼さを
忘れた証だった

小さな横顔は
夢の終わりで、いつも
指きりを強請る
それを見ないようにして
不自然に、目覚めることを
大人と言ったのは
誰だったか


大人であることを
私が選んだとき
その始まりに立つのは
いつだって
私だと、いうのに












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