同病相哀れむもしくは/亜樹
 
ば見えない部分、そこに走る薄い赤い線。
これがなければ、おそらく私は生きては行けない。
狂ってしまう。
絶望してしまう。
やり場のない憤りの逃げ道は、その歪んだ赤いラインだけだった。
手首を切るような人間の感情はわからない、と彼女は言った。
私には、それこそがわからなかった。
それを、口に出してしまう彼女が。
自分が正しいと、信じて疑わない、疑問にすら思わないその傲慢さが。
友人に言った。
彼女のようになりたい、と。
友人は首を振った。
私たちには無理だ、と。
彼女の発言に、一喜一憂を繰り返す、私たちには無理だ、と。
自分が、蔑まれるべき種類の人間だと認識してしまってい
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