同病相哀れむもしくは/亜樹
ている、私たちには無理だ、と。
もっともだと思った。
私は彼女にはなれない。
彼女が私になれないように。
私の手元には、今一通の手紙がある。
彼女の元には、けして訪れないであろう種類の手紙。
頭がぐらぐらしそうなほどの、悲鳴とSOSに満ちた手紙。
文末に、最初会ったときからわかった、と書かれていた。
同じなんでしょう、と。
貴方も私と同じなんでしょう、と。
どういう理屈か知らないが、何故か、彼らは、私を標的とする。
彼女ではなくて。
同じ荷を負った私に、自分たちの荷物を惜しげもなく上乗せしてくる。
私が潰されるのを、心待ちにしているかのように。
来年、彼女は教壇に立つ。
私の未来は、今のところ不透明で、手紙の増える予定はなかった。
彼女もきっと、これから先、手紙を受け取ることはないだろう。
受け取り手のない手紙に向ける感情は、哀れみに似ていて。
もしくは。
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