同病相哀れむもしくは/亜樹
 
私は反抗期すら経験していない。姉の反抗期が派手すぎて、機会を逃してしまった。今更五十に近い両親に反抗する気力もないし、彼らの体力を思えば、どうしたって躊躇いが生じる。
小中の恩師は、学校に行けば、明るく出迎えてくれた。
高校は決まったか。大学は決まったか。お前は真面目だから、大丈夫だよな。しっかりしてるから。
彼らに怨みなどというものを感じたことはなかった。完璧な人格者じゃないのは、知っている。人間だから、仕方ないと素直に思える。過剰な要求はできようがなかった。
何に憤ったらよいのか考えて、結局は自分に還る。
そういう性分だった。そういう性分になっていた。
長袖の下、普通にしていれば見
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