眠りがすべてを抱きしめるなんて嘘さ/ホロウ・シカエルボク
 
分のときには誰かのせいに出来るからね

シーラカンスのような黒雲が辺りからはぐれて
たったひとりだけで空を泳いでいた
おまえはひれの形を真似して
今にも川面に跳ねそうになったのさ

国道には増えすぎた車達が消化不良を起こしている
ハンドルを握るひとりひとりの
顔を見ながらお前は考える
(こいつらひとりひとりがこぞって楽をしたがるからこんなことになるんだろう)
そしてそれはあながち間違いじゃない
エンジンの名前がステイタスになった馬鹿げた時代があったもんだよ
もう二十年くらいは前のことさ
自分の名前よりも先に
お題目にすがらなきゃならないやつらがきっとたくさん居過ぎるん
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