眠りがすべてを抱きしめるなんて嘘さ/ホロウ・シカエルボク
 
かない声で鳴くのはそのほうが気楽だからだ
誰かに触れるのは怖い
おまえだって本当は気づいているんだ
見つめようとしたら
飛び去って行ってしまうよ
エンブレムのように路上でひしゃげた姿に
もしかしたら明日出会うかもしれないけれど

スタッカートでアンドロイド
おまえにはそれが出来なかった
長く続く歌声をすべて聴こうとして
目の前を通り過ぎるものをあらかた見失った
何かが渦巻いている事はかろうじて判るけれど
言語化するときにどこかしら間違えてしまう
他人の顔を見ることが嫌になった
探るような視線にどうしてもイラついてしまうから

信号が変わる前に渡ろうとする事が嫌にな
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