冬のはじまり/プル式
 
何かを求める時、その目の前にはどんな景色が見えているのだろう。

・僕という記憶

新宿の駅前の喫煙スペースでタバコを吸っている時に、立ち昇る煙を見て思ったのだけれど、例えばこの煙の中にそれぞれの記憶が混ざっていて、それが誰かの夢になったりしたら面白い。それが自分であっても。タバコ嫌いな人もいるから、そういう人は冬に飲む紅茶や、コーヒーの湯気でもいい。何処へとなく消えてしまう煙や湯気が記憶を運んでいく。
もう一つ思ったのが、感情を記憶できるものがないって事。季節の切なさや心地よさ、そういった、今、この瞬間の記憶をとりたい。だけどきっと、今しかないから大切に思う感情もあるし、それが人を動か
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