七人の話 その2/hon
 
員に走った。病院も医者もいないこの環境で、あらゆるケガは生命の危険と直結して考えられる。仁乃は大急ぎで救急用具を取りに走った。
 一同はとりあえず志穂子の部屋の前に集まったが、どうしてよいか分からず、おろおろとうろたえるばかりであった。
 とにかく秀人と充で志穂子を持ち上げて、ベッドに運んで寝かせた。
 仁乃は救急箱を持ってすぐに駆けつけ、志穂子の手首の傷を手当てした。
「ニノ姉さん……」志穂子が薄く目を開きかけた。
「いいから。今は何も言わずにおとなしく寝ていなさい」仁乃がやさしく、かつ決めつけるように言った。
 志穂子はおとなしく従って、目を閉じた。
 仁乃によると、志穂子は気を
[次のページ]
戻る   Point(0)