七人の話 その2/hon
は……」
その当時十才だった志穂子が、どんな問題を抱えこんでいたのだろう。
結局、秀人は彼女を一緒の食卓につかせるのは、あきらめざるを得なかった。
志穂子は食事を一人自分の部屋でとることとなり、土星棟の二階にある彼女の部屋まで食事をトレーに載せて持っていくのは充の役目となった。
そして、志穂子が自室で手首を切ったのが、ちょうど一ヶ月前のことである。
一ヶ月前のその日の昼食後、充が食器を回収に志穂子の部屋へ行くと、食事が手を付けられないまま部屋の前に置かれてあった。
不審に思った充が、外から呼びかけても返答がない。
合鍵を取ってきて、ドアを開け、部屋の中へ入ってみると、志
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