七人の話 その2/hon
、彼らは仁乃のつくる料理以外の料理をほとんど知らないのだ。
最近は、小遥も時おり厨房に入り、少しずつ仁乃の料理を手伝いながら、その調理法を伝授され覚えつつある。
いま六人が囲んでいる食卓。それは、かつては七人の食卓だった。
ふだんは、思い思いに自分の生活を過ごしていても、食事の時だけは、七人が揃って一緒になること。――それは、ながきに渡って、ずっとこの屋敷での約束事だった。
七人が揃って「イタダキマス」「ゴチソウサマ」を言うことに、とくに強く固執していたのは秀人だった。それこそが“ダンラン”というものであり、このような状況下においては、皆にとってとりわけ重要なことだと彼は言う。
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