七人の話 その2/hon
 
人は椅子に斜めに腰かけ、足を組んで黙りこみ、何事か考えているふうであった。
 充がそこへ静かに入ってきた。
 仁乃は充に訊ねた。
「ミツル。今日はどうだった、シイちゃん」
「普通」
 充はそう答えて自分の席についた。
 やがて、食事の準備が整い、全員が食卓についた。
 秀人は全員の顔を確認するように視線を水平にめぐらし、低い声で言った。「イタダキマス」
「イタダキマス」と、全員が唱和した。
 そして、六人の昼食が始まった。料理を取り分けたり、調味料を手渡しあう声の響きで、食堂の空間は満たされていった。
 この広い食堂は火星棟の一階に位置している。隣りには食事を準備する厨房がある
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