詩集に纏わるエピソード (3)/深水遊脚
関する自伝的な詩とあわせて読むと興味深い。熟柿について緻密な観察があってこそそのイメージは夕日のそれと交わり、溶け合い、より奥行きの深い世界が描かれる。その緻密な観察を可能にしたものこそ、絵画に取り組んでいた時期の積み重ねであるように思う。
絵画ばかりとは限らない。一見詩とは関係のなさそうな仕事でも、経験を積んで熟練してその奥の深さを知るようになると、それにより身につけた感覚が詩に影響してくることがあるだろう。ふだん詩を書かない人がふと書きたくなることだってあるかもしれない。文字の羅列にしか見えなかった詩がすっとわかるようになり、惹きつけられるようになることもあるだろう。経験を積み、貪欲に
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