詩集に纏わるエピソード (3)/深水遊脚
 
吸収しようとするひたむきさ、貪欲さは詩の至るところに表れている。引用部分の、まず自分が目にしたものをたよりにして題名を思い起こす行為は、目の前の世界を言葉により再構築すること、すなわち詩作に限りなく近い行為といえる。絵画と詩作とで出来上がるものは違うけれども、創作の源泉となるものはどこか共通しているのではないか。同じ詩集に入っている別の詩も引用したい。


(引用 同詩集より)

夕日に抱かれた熟柿は
もうこれ以上熟すことはできないと
落ちそうになるがとどまる
熟柿に抱かれた夕日は
一段と広がって
山の合間に向かって行く

(引用終わり)


この詩などは、絵画に関す
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