臨界に富む/皆川朱鷺
 
体質になってしまうと聞くではないか。
女の像が気に入らない。
顔が見えなくて個別化出来ないのが腹立たしい。
いつかのひとりの女なのか、いままで関係した女の集合体なのか。
そのループする夢の中の女は、いつも後ろ向き。
髪の色や長さや、手足の肉付きや服は(或いは女は全裸だったのかもしれない)、
目を開けると塵が如く消えてしまう。
女の肌の白いことと、その女を見て、美しいと感動したのだけは、
自分の名前と同じぐらい深く自分の中に食い込んでいる。
滅多に人という物体に感動したことが無い私が、
美しいと惚れ惚れと眺める女ははたしてどんな女なのだろう。
そんな女はい
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