臨界に富む/皆川朱鷺
はいやしないのだ。
存在するわけがない。
いまだかつて、可愛いと思える女にさえ、会ったことが無い。
私の周りにどこからともなく飛んでくる女は、皆私を気持ち悪くする。
いずれの女も世間並みの容貌もしくはそれ以上であったと友人は評価するが、私は気持ちが悪くなった。
積極的な女を嫌うというのでもなく、変なフェチズムも持ち合わせていない私が、何故美女を連れると気持ち悪くなるか。
いや、お前はまったくもって相当な男だ、とあるとき友人が言っていた。
美女を連れることで、自分に自分で目が向けられなくなるのか、
まるで女が不細工な男を連れて歩くことで、自分を美人だと思い込む傾向と似
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)