アデン 一/soft_machine
なのに、気持ち悪かったのがどんどん治っていっちゃったんだ。だんだん気にならなくなってきて、それどころかちょっといいにおいになっていって、やっぱり食べられそうじゃなかったけれど、なんだかすっきりしたにおいだったから、僕はだらしなかったあごを上げて、耳としっぽをまっすぐ後ろにしたところで気づいた。
いすに座った男がいる。
男は僕にせなかをむけて、みぎ手にもったほそい棒の先っぽで赤い線をひいている。棒の先っぽは三角にくんだおおきな柱にかけられたうすい四角の、この部屋よりうんとおおきな景色にのっかっていて僕はびっくりした。
四角には川がながれていた。山がかすんでいた。空は晴れてるところもあ
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