本/小原あき
図書館の本は
公務員みたいに黙って
読まれる、という役目を
少し怠そうに待っている
田舎の図書館は
どうも品揃えが悪くて
本にも覇気が無い
手に取ってみても
抵抗はしないけれど
なんの感情も見られないので
すぐに棚に戻してしまいたくなる
田舎の図書館は
ただ、静かな空間があって
時が止まっているみたいだ
時計の秒針が鳴る音で
進んでいたのを思い出す
白い空が似合うと思う
少し煙った
白い空が似合うと思う
書店の本は
蛍光灯の躊躇わない光に
顔色を良くさせて
営業用の笑顔を振りまいている
大型書店は
静かな雰囲気を装
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