客観的なドッペルゲンガー/榊 慧
が描きたいと思いながらダラダラと時を過ごしている。
通信制の教育も一応受けているらしいが最初の課題すら提出は出来ていない。
それでもそいつは絵が描きたくて描きたくて辛抱たまらない。
けれど。
常に何かに追い掛け回されているようだ。
早く、遅れた分の勉強すれば良い。
課題のデッサン早く描いてしまえば良い。
そう自覚しているにもかかわらず、結局どれも出来ていないことでまた頭を悩ませている。
莫迦だなァ。
これも自覚しているらしい。
環境の問題もあるとは思うのだが。
そいつにとって、描ける場所も勉強できる場所も休められる場所も、何ひとつ無
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