亡霊の午後/ホロウ・シカエルボク
何かを判断できる材料などあるわけがなかったのだ
おそらく看護士なのだろう二人の女が駆け寄って男を介抱していた
俺は節目がちにそれを見つめながらナポリタンを食べ尽くした
のんびりとテレビに没頭しているように見えた店主は
皿が空くとすぐにコーヒーを持ってきて皿を下げていった
俺はその速やかさに少し感動した
コーヒーに少しだけミルクを溶かして口に運ぶと、それはナポリタンよりもずっと印象的な味がした
車の流れが途切れて救急車がやってくるのが見えた、介抱した女達はあれこれと救急隊員に状況を語っていた
彼女達が少し
上着に付いた血が見えやすいように身体を動かしたのは偶然じゃないだろう
や
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