亡霊の午後/ホロウ・シカエルボク
 
、少しは
だけど俺には判らなかった、あの男がもうすべて諦めてしまったのかどうかが
手を差し伸べる事は時々酷い侮辱に相当する、そんな心を俺はまだ知っていた(少なくとも俺の中にもまだそれはきっとあるのだと)
俺はしばらくの間車の流れを疎ましく思いながら男の様子を伺っていた、が
(果して海老は本当に小さすぎるのか?)という疑問に不意打ちを喰らい
皿に目をやって数秒間が過ぎた(海老は思ったより小さくはなかった)
顔を上げると男は血を吐き出していた、口の中から真っ赤な柱が
真っ赤な柱が生まれたのかと思うくらい大量の血液だった
もはや俺に席を立つことが出来るはずもなかった、俺は彼について

[次のページ]
戻る   Point(1)