特別であり普通である私たち/岡部淳太郎
 
作活動をする方もある程度の自我の強さがなければそんなことは出来ないから、自分は価値あるものを創造しているという思いにとらわれやすい。そこに社会からの無言の圧力による疎外感が合わさって、「特別」な存在が創出される。
 このように、創作者であろうとそうでなかろうと、自らを「特別」な存在であると見做す過程は同じである。だから、そこに何らかの新しい論議を持ちこむ必要はほとんどないと思われる。ただひとつだけ残る問題は、創作者の姿勢だ。創作をするに当たって、「普通」と「特別」のどちらに重きを置くべきか。おそらくその態度の違いはそのまま創作者の自己認識の違いと同じである。自らを「特別」な存在であると思えばその
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