特別であり普通である私たち/岡部淳太郎
 
り同時に「普通」でもある。そのときの精神傾向によって、そのどちらにも変りうる。私たちは誰にも発見されていない宝石であると同時に単なる馬の骨でしかないのだ。
 さて、ここからは私が以前書いた文章に登場した「自らを特別な存在のように見做してしまう『詩人』」について、少し考えてみたいと思う。
 詩人に限らず何らかの創作活動をしている人間は、そうでない人間に比べて自らを「特別」な存在であると見做す度合いが高いと思われる。それは前述した社会と人間との関わりに答を求めることが出来るだろう。「普通」の社会生活の側から見れば、ひとりで黙々と何らかの創作活動にうちこんでいるのは「普通」に見えない。加えて、創作活
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