詩集に纏わるエピソード (1)/深水遊脚
重ね着』では、様々な人の生き方を静かに見つめるような詩が印象的だった。伊藤芳博氏の『家族 そのひかり』では、より著者に身近な家族とのかかわりが詩のなかにあふれていた。斉藤圭子氏の『蒼茫』でも絵画のことや詩のこと、それにまつわる人とのかかわりがいろんなかたちで詩に現れている。詩作にかかわるものもあった。松田研之氏の『ねぶかの花』のタイトルは、著者の敬愛する詩人、木山捷平氏の詩から来た言葉である。同じ詩集の「物置で」という詩には、かつて詩学(東京詩学研究会)にともに集まったひとたちの思い出が綴られている。
と、このようにつらつらと書くだけでも仕方ないので、特に印象に残った詩の数行を選んで引用し
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