ダルメシアン・ポラロイド/黒川排除 (oldsoup)
写真を撮ってくださいとお頼みしたかもしれません。いつのことかは忘れたけれど。忘れないうちに忘れてないことを語っておきます。戦争があったのは三年前で、街はぼろぼろになりました。その頃に犬を買って、お金を払いました。犬は牛のような模様の下で、今も低い鳴き声に鼻を湿らせています。ちょうどその街は湿っていて、水滴が誘導する方向には、いつも空っぽのバケツが置いてありました。階段は欠けていて、犬と散歩するたび、近所の子供に石を投げられたのを良く覚えています。実は階段が欠けていたのは、散歩が日課になってからです。わたしは嘘つきな女です。石を投げつけられる犬を不憫に思ってかばいましたが、その石は初めからわたしに
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