七人の話/hon
消し忘れたことがあった。
仁乃はそれを自分から(黙っていればわからないのに)皆に申告した。
ヒイ兄はニノ姉さんを怒鳴りつけるんだろうか、と皆で冷や冷やしていたが、仁乃が身も世もなく、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんね、ごめんね、と大泣きに泣き崩れると、秀人が怒る間もなかった。彼女は打ちひしがれて『おしおきべや』に一日中閉じこもり、最後には皆でなだめすかして、ひっぱりださないとならない始末だった。
「ニノ姉さんは範を垂れたのだわ」
と、小遥がそのとき言った。
「ハンをタれるって?」と、睦夫がたずねた。
「上の者が手本を示すってこと」と、小遥が答えた。
電気を消し忘れるというこ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)