七人の話/hon
 

 ホールの天井には使われなくなって久しい、埃をかぶった骸骨のようなシャンデリアが黒々と吊り下がっており、二人は階段の電気を切ってその下を走り抜けると、ホールの脇にある渡り廊下から金星棟を出て行った。


 懲罰について。
 この家のなかの取り決めで、電気の消し忘れには第二級の罰が与えられることになっていた。
 第二級の罰とは、この家でかつて執行された罰のなかで最上位の厳罰である。
 それは、兄や姉にものすごい剣幕で怒鳴りつけられ、『おしおきべや』に半日閉じ込められるというものであった。子どもたちにとってはかなりきつい、恐るべき懲罰である。
 以前、仁乃がうっかり“厨房”の電気を消し
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