七人の話/hon
 
トリのことをはなそうっていうの。トリの名前のことを。ふうん。じゃね、イヌワシ!」
「えっと、ハクチョウ」
「イワツバメ」
「タカ」
「シロフクロウ」
「ハト」
「ツグミ」
「カモメ」
「ダチョウ」
「ペンギン」
「ああ、残念。ペンギンはソラをとべないんだねえ」
「ダチョウもとべなかった気がする」
「あ。ほら、だまって。耳をすまして」
 睦夫と奈々子はじっと黙り込んだ。
「ね、きこえた」
「きこえた、ね。遠鳴りが」
 二人は手をたたき、指で互いに突きあって、くすくす笑った。ノイズの向こうから遠鳴りの響きが聞こえると、それは吉兆で、きっと良いことがあると二人は教わってい
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