七人の話/hon
がたを消して月がのぼった。ソラはクラくなり、星がきらきらとひかった」
「星って金星?」
「金星だけじゃない。数えきれないたくさんの星が、ソラ一面でまたたくんだ。星座になって」
「ねえ、窓から外を見てみたけど、今日はノイズがうすいよね」
「うん、そうだね、今日はずっとうすいね」
「ノイズがうすい日に、じっと窓から遠くをながめてると……」
「ながめてると?」
「遠くにつらなって並んでるヤマの影が見える気がする」
「うそだ」
「うそなものか。ノイズの向こうに世界があるってこと、わかっている?」
「知ってる。宇宙の大きさが百億光年あって、今でもまだ広がりつづけているってことも。ズカンに
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