瀬賀/リーフレイン
て候。
父上様、赤穂の赤塩一匙もらいうけまして候。
瀬賀のこの指、父上様のおん頬に触れ申し候、
瀬賀のこの掌、父上様のおん涙 ぬぐい申し候。」
「さように上手なことをいったい何処で習うてまいった。
さても長きに、父はそなたの傍を離れて候。
嗚呼、嗚呼、そなたの姿をただの一つも見逃すまじと
赤穂の塩に誓いをたてしは、
そなたがうぶ声をあげし朝
鏡のごとく凪いだ瀬戸の内海の
彼方に浮かぶ島々を
ようように緑に白に彩なす光
かの陽のごとく
変幻する
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