瀬賀/リーフレイン
どもの手にかかったやもしれぬと思はば、
父は嬉しくも心凍る思いにて候。
涙を止めることかなわぬ候。」
「父上様、ご安心くださりませ。
父上様、笑ろうてくださりませ。
瀬賀は一つも変わることなく、ここにございまして候。
毎夜、父上様の苦労を想いて、流しておりました涙、
さても、かようにお元気な父上様のおん前にて、
日の光にあたった如く乾きまして候。
父上様、赤穂は秋になりまして候。
父上様、赤穂の銀杏を炒ってまいりまして候。
父上様、赤穂の柿を持ってまいりまして候
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