あの日、教会の裏庭で彼女は微笑みさえした/ホロウ・シカエルボク
も
それを凌駕して余りある思い出の作り方を
彼女は
僕が彼女のすべてを忘れて
日常のなかで間抜け面をして生きる頃に
僕がそのことを思い出すというシステムをちゃんと把握していたのだ
僕は思い出す
あの日の空気を
あの日鳴いてた鳥を
あの日吹いてた風を、それがシャツにぶち当たるときのぞくっとするような冷たさを
もう触れられないのかもしれないと思いながら触れていた彼女の肌を
もう感じられないのかもしれないと思いながら感じていた
彼女の滑らかな内側を
それはまるでワルツのように優雅で
一度きりの花のように儚かったけれど
まるで日に焼けたみたいに色褪せて
まるで日向に捨てられ
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