あの日、教会の裏庭で彼女は微笑みさえした/ホロウ・シカエルボク
られたグラビアみたいな色だったけれど
僕はありありとそのことを思い出していた
騙されたみたいに時間が出来た
平日の午後の事だった
僕の心は
ちゃんと彼女の元にいた
あの頃よりもたしかに
あの頃よりも確実に
行為のあとですすに汚れたブラウスの袖を見て
彼女は穏やかな表情で微笑を浮かべさえしたのだ
あの日、教会の裏庭のもう使われていない左側面に大きな穴ぼこが開いた焼却炉にもたれて、そうだ
あの日そこの牧師が誰かに呼ばれて出かけていたせいだ
彼女に電話をしたくなったけど
洒落たユーモアを聞いたときみたいにくすっと笑う
人を馬鹿にするときの癖は今も変わらないだろうから
アドレスは無くしたことにしておく、いまはただ
君の手腕に感心するばかりさ
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