月下美人の恋/榊 慧
指摘されて悲しかったわけじゃなかった。
悔しかったわけでもなかった。
かと言って、嬉しかったわけでもない。
色んな思いが入り混じって。
何の魔法も持たない私が、どうしてその運命を変えられる?
私の言う通り人間は愚かよ。
叶うはずもない恋心に心を乱して。
身の程知らずとは分かっているけれど。
身の程を、知らないわけじゃない。
知ってなお、じゅうぶんなほど、思い知っているのに、
それでも想わずにはいられない、
そんなあなたたちを、無情だなんてどうして言える?
(だって私も同じだから。)
寿命を奪われても、あな
[次のページ]
戻る 編 削 Point(6)