月下美人の恋/榊 慧
あなたに愛されたいと、願うだけなら罪にはならない?
こわいのは私の想いが、
近い将来天界へと上るあなたの足枷になるのでは、ということ。
それを、望んでいる自分。
無情だなんて、言わないで。
所詮、月下美人が太陽を望むなんて、夢に過ぎないんだわ。
莫迦だ。
こんな風に、手を伸ばしたりして。
なんて愚かなんだろう。
決して手に入ることはないのに、手を伸ばしたりして。
欲と想いばかりが、募っていく。
自分を陥れるだけだと、わかってるのに。
伸ばしても触れることが出来ないのならば、
ずっと水底で見上げているだけに
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