窮理の唄/生田 稔
 


窮理の唄


どーん、どーん
どん、どん
賢き童は申し候
賢きの、賢きの童は
拍子とり,一巻のくすしい唄を
うたい候
髭の相者はおわしせば
髭の相者の髭ひとひねり
窮理の調べ出できて候
一艘の舟ととのえて
窮理の川を下る時
ひしめき合えるひと群の
鳩群となり中州の上

ひだ皺多き老いたる相者
窮理の唄をつくりだし
呼べばあまたの衆生ども
何処ともなく集いきて
賢き童は三弦琴を弾きならし
古よりの窮理をば
相者は大き声出だし
衆生に癒し与えんと
言い給えり

「そもそも農事は
事の始めよ
いよいよに鋤鍬にはげめ
天よりの雨、地に
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