星の子供たち/Utakata
のもあった。それら全てを大きなジャムの瓶
に入れて、近くの河川敷へ行ってそっと流してやる。
流す直前、瓶の蓋を僅かに緩めておく。海へと辿りつ
くまでの間、水が少しずつ染みこんで記憶を河底に沈
めてくれるように。荷物を下ろしきった感覚のまま自
室に戻ると、ずっと昔に別れた友達からの郵便が届い
ている。どうしようもない徒労感だけが後に残る。
3.
水色の矢印が指差すその先には柔らかな匂いのする牧草
地が広がっていて、その真ん中に佇む丸太小屋には子供
のころ失くしたものが全て保たれているのだと君は言っ
て、その水色の矢印を探す旅に出てからもう長い時間が
経つ。ある雨の日に僕が
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