おじいちゃんへ/北大路京介
 

飛び出した入れ歯を見て、またゲラゲラ笑いました。
祖父が死んだばかりとは思えないぐらい明るく。
きっと、妹たちは 祖母の悲しみや寂しさをマシにしようと頑張ってたんやと思います。

「 いい孫がいて良かったね、おばあちゃん。」
一年経った今、改めて思います。
家族の良さって、こういうところなのかもしれません。

妹たちは それぞれ祖父へ手紙を書いて、お葬式で読み上げ、棺桶に入れました。
僕は手紙を書きませんでした。
書けませんでした。言葉が出てきませんでした。
祖父の好きだったタバコ(マイルドセブン)と
燃えても大丈夫な 木でできた将棋の駒と 将棋の板、詰め将棋の本を買
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